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糖尿病性腎症

女性 / 77歳

糖尿病性腎症は、糖尿病の3大合併症の1つ。現在では透析療法を受ける原因疾患の第1位を占めています。糖尿病で血糖の高い状態が10年以上も続くと、徐々に全身の動脈硬化が進行し始め、蛋白尿が現れ、やがてネフローゼ症候群等を経て、慢性腎不全へと悪化してくるのが典型的な経過です。

生活環境 生活状況
夫婦2人の高齢者世帯。
近くに娘様がお住まいで頻繁にご訪問されている。
要介護5。毎週月〜日曜日はデイサービスを利用。
食事:朝食はご主人が決まったメニューを用意。昼食はデイサービスで食事。週末の夕食は娘様がご用意。認知が進んだとは言え、ご自身は糖尿病の自覚あり。退院後は間食しないという強い意志を持っておられる。
ご利用の経緯
以前は血糖コントロール良好だったが認知症が進み、服薬ができず、検査も受けなくなり病状が悪化。認知が進んでいることに周囲が気づかず、病状悪化の発見が遅れた。認知症に気づいた娘様が同伴し通院、血糖コントロール不良と腎機能低下を指摘され、ご入院される。
退院後の自炊は困難なため、近くに住む娘様が週末の食事の用意をし、平日の夕食に配食を利用したいとのご希望。昼食はデイサービスで食事をするため、配布される献立表から娘様が、エネルギー・蛋白質・塩分量を事前に把握し、調整されることに。その際の娘様の食事作りに関するフォローもさせていただく。
ご利用の食種
塩分・蛋白質調整食
1400kcal/塩分5g
配食ご利用状況
昼食: 無し
夕食: 月〜日

管理栄養士からのアドバイス
大都が担当しました
糖尿病に関する知識のあった娘様に糖尿病性腎症の食事療養についてのポイントを伝えました。
週末に用意される食事は、はーと&はあとの食事を参考にしてご用意していただくことにしました。
  ご主人の調理可能な範囲で朝食の献立をご提案。
まず現状の朝食が、主食を食パン6枚切り半分(DM交換表1単位程度)に抑えておりエネルギー不足気味。
また、ヨーグルト・豆腐・高野豆腐・煮豆を摂っており、蛋白質過剰傾向と判断。
これからは、必要エネルギーの確保と、蛋白質制限・塩分制限への移行を伝え、朝食はご飯120g程度、野菜の味噌汁、野菜の炒め物あるいは温野菜サラダ(マヨネーズ使用)にするようアドバイスしました。

血液検査の変化(6ヶ月間)
血液値は利用者様からの申告によるものです
ご利用後の変化
退院時の指示は1200kcal、蛋白質35g塩分5g以下だったため、デイサービスの献立内容と栄養価を確認し、主食と主菜で調整してもらいました。腰部圧迫骨折もあり、活動量も低かったのですが、5月頃には治癒し、デイサービスの頻度が週7日→5日に変更。また検査結果が落ち着いたことから血液検査の頻度が2カ月に1回になりました。しかし、その後体重の減少がみられ、と同時にクレアチニン値が上がったため、エネルギー不足と判断。デイサービスの食事も全量摂取してもらいました。また朝食にマヨネーズや炒め物を用意するよう、間食にはゼリーなどの摂取を勧めました。同時にご家族に主治医へ指示確認を依頼し、1650kcalへ変更になり、配食の食事も変更。その後体重も戻り、腎機能も維持されています。