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慢性腎不全 (透析治療期)

男性 / 70歳

人工透析療法は、腎不全の末期で腎機能が障害され、尿毒症や心不全などの循環器症状、倦怠感などの神経症状、吐き気や嘔吐などの消化器症状があらわれた場合に開始します。透析には血液透析と腹膜透析があります。血液透析は人工の半透膜であるダイアライザーという機械に血液を通し尿毒物質の除去、電解質の補正、代謝性アシドーシスの是正を行い血液を浄化する療法で、浄化した血液は体内に戻します。治療の維持には通常1回4時間、週3回の通院が必要です。腹膜透析は腹腔内に滅菌した透析液を注入し、半透膜である腹膜を通して尿毒物質の除去、電解質の補正、代謝性アシドーシスの是正を行う療法です。治療の維持には通常1,500~2,000mLの透析液を定期的に交換する必要があります。

生活環境 生活状況
夫婦二人暮らし 週に3回人工透析で通院。また訪問介護も週3回利用。食事は、朝は奥様が準備、昼は配食と透析帰りに外食、夕は介護士の方の食事を組み合わせて用意されます。
ご利用の経緯
透析前は他社の冷凍の配食弁当を利用されていたが、透析となり透析食の取り扱いがなかったため当社を利用となる。また電解質バランスが崩れやすいため細かな食事調整が必要となり定期的な栄養相談ができる先がほしいと相談がありました。
ご利用の食種
塩分・たんぱく質調整食 (1600kcal/塩分6g)
配食ご利用状況
昼食: 月・水・金
夕食:

管理栄養士からのアドバイス
杉浦が担当しました
日々のお食事ははーと&はあとの配食と介護士の方の作るお食事を組み合わせるため、介護士の方とも連携を取り食事のポイントについてお伝えしました。   ・介護士の方に夕食の1食量(特にたんぱく質量)の目安をお伝え。またエネルギーアップのための調理の工夫についてアドバイスを行う。
・朝食に果物が食べたいとのご要望であったため、カリウムの除去方法、果物の含有カリウム量の一覧表をお渡し
・途中アミラーゼ高値、慢性膵炎疑われ主治医から膵炎食に切り替えるよう指示あり。脂質制限食に切り替え、介護士の方に膵炎の食事療法についてアドバイス
・食欲不振時に少量高カロリーの補助食品の提案・導入を行い食欲が回復するまで利用を続けられる
・リン・カリウムの値が急上昇で推移。食事の聞き取りより、卵や牛乳、納豆や市販のおやつなどプラスで召し上がられていたため、代替えの食品や摂取量の調整を行う
・減塩でもおいしく食べられる調理の工夫についてアドバイス

血液検査の変化()
血液値は利用者様からの申告によるものです
ご利用後の変化
初回訪問から10年ほど経過。現在は身体状態が安定されていますが、ここに至るまではリンやカリウム値の上昇、高血圧、低血圧、膵炎、熱発による入院など様々な出来事がありました。お食事も飽きられたり、カリウムやリンの多いものを食べすぎて薬や食事の調整が必要になったり、脂肪を制限する食事に変えるなど身体状態に合わせた細かな対応が必要となりました。その度ご本人様・ご家族の方・多職種の方とどうしていくか解決策を一緒に考えていきました。
ご本人様が食事療法に対し前向きに取り組まれており、過去のさまざまな出来事から自分の身体にあった食事がどのようなものなのかを選択できるようになったことはとても大きな変化だと思います。
また奥様も『ずっと一緒に暮らせるように』と食事療法に積極的に取り組まれておりました。
現在は膵炎落ち着き腎臓食を摂取。補助食品も使用せずに腎機能維持されています。