訪問看護でたくさんの利用者様と関わる中で、よく耳にする悩みは「おしっこが近くて困る」、「夜に何度もトイレで起きる」など頻尿に関するものが多いです。
泌尿器科を受診して、お薬を処方してもらっても、なかなか改善しないと言われます。
今回は排尿障害のメカニズムと、対策についてお話したいと思います。
排尿障害は、畜尿障害と排出障害に分類されます。
畜尿障害とは:「ためておくことができなくなる」ことです。これは膀胱排尿筋の過活動や、膀胱出口の抵抗が弱くなる、尿道閉鎖圧が低下するといったことが原因となり、尿失禁や頻尿が生じます。
排出障害とは:「出すことができなくなる」ことです。これは膀胱排尿筋の収縮力低下や、膀胱出口の抵抗が大きくなることなどにより、排尿困難に陥るものです。
【対策】
①生活習慣の是正
直腸内に便が残り続けると、尿失禁や排尿困難の原因となります。生活習慣を見直し、便秘解消に努めましょう!
② 行動療法
行動療法の多くは、畜尿障害(尿失禁や頻尿)に対して行われます。具体的には膀胱訓練と骨盤底筋体操があります。
③ 薬物療法
過活動膀胱や前立腺肥大症に対しては、薬剤を使用して排尿障害を改善させます。
④ 手術療法
高齢者の場合、合併症のリスクなどを考慮し、医師が慎重に診察した後に、治療法として選択されることが多いです。
【行動療法】
1⃣膀胱訓練
・排尿時間をあらかじめ設定し、その時間に排尿をしに行く習慣をつけ、その時間を少しず
つ長くしていきます。
・トイレに行きたくなっても、5分~10分程我慢してみる。少しずつ我慢する時間を長く
していく。
2⃣骨盤底筋体操
肛門や膣をさまざまな体勢で締めることで、尿道括約筋を「しめる」トレーニングのことです。深呼吸しながら、骨盤底筋をゆっくりと強く締めて5秒間保持することを繰り返します(図1)。これを1日に50回から100回ほど繰り返し、毎日継続していきます。![]()
排尿障害の悩みは人それぞれ違います。トイレが心配で外出が億劫になっている方もいらっしゃるでしょう。そんな時、大人用オムツや尿取りパッドを選択してみることもいいと私は思います。今年開催された関西・大阪万博では、"未来のおむつコレクション"としてオムツのファッションショーが行われました。各おむつメーカーや下着メーカー、伝統工業等が協力し、外観だけでなく、内面的な負のイメージを払拭し、誇りを持っておむつを穿ける文化を創り上げたいと考え、開催されました。
まだまだ抵抗感の強いオムツですが、誰もが楽しみながら自分らしく生きる事ができるアイテムとして捉えられればと考えます。



