2020.10.1で訪問看護はーと&はあと設立3周年を迎え、4年目に入ることとなりました。ここ最近になり、ようやく「どんな訪問看護にしたいか」という事を言語化できるようになったので、今回はその話をしたいと思います。

訪問看護に従事してから、病院看護師と訪問看護師の違いを、ずっと考えてきました。私の中で出た答えは、言葉にすると月並みですが、"病院では治療を支え、在宅では生活を支える"でした。ADLとQOLの違いという感じでとらえており、安心できる・充実した生活の一助となるべく、看護やリハビリが存在すると思っています。そして、利用者さんの人生の歴史の1ページにそっと名前を刻んでもらえるような、心に届くケアが提供できる訪問看護にしたい、それが今の私の想いです。

それを実現させるための一つとして、譲れないと思っているのは担当制です。担当の〇〇さんが来るのを、心待ちにして下さる利用者さんが増えること、出会えた利用者さんのニーズに応え続けていくために試行錯誤することに、やりがいを感じています。おかげさまで利用者さんが100名を超え、これからもお一人お一人のニーズに応え続けていける仕組み作りを、しっかりとやっていきたいと思っています。

ただ、仕組み作りだけではなく、"目に見えない技術も確立したステーション"にしていきたいと考えています。病状によっては、苦しく重い言葉を発する利用者さんもいらっしゃいます。その言葉を受け止められるだけの、技量と度量が備わったステーションにしていきたいと思っています。例えば利用者さんが「死にたい」と言ったときに「そんなこと言わないで」、と自分の気持ちを話す機会を遮られてしまうのは辛いことだと思うのです。自分の担当ならしんどい気持ちも吐き出せる、そんな関係をスタッフに築いてもらいたいと考えています。たとえ重い言葉であっても、逃げずに、ごまかさずに対応していけるプロでありたい。そして、日々意識と工夫ができるスタッフと共に、ステーションを大きくしていきたいと思っています。

重い言葉や、苦しい身体状況と向き合うのは楽なことではありません。しかし、コミュニケーションは技術だとも考えており、個々の力量頼みではなく、一定のレベルまでは、技術としてコミュニケーション力を磨くことが可能だと考えています。到達速度は個々のペースであっても、達成しようとする努力を惜しまないスタッフと共に頑張っていきたいのです。一定のコミュニケーション力を身に付けた上で、 "個々のスタッフの持ち味を最大限に活かせる、やりがいが感じられるステーション"にしていきたいと思っています。

また、利用者さんに何かを伝えるときに大事にしていることは、「看護やリハビリの知識を決して振りかざすことがないように」ということです。利用者さんが受け取りやすい方法を「現在、過去、未来に思いを馳せて感じ取る・見出していく」、それができるステーションに成長していきたいです。生活の主役である利用者さんのペースに合わせながら、ケアをすることを大切に、日々精進してまいります。

<山本のひとり言>
私は紅茶派ですが、スターバックスが好きです。その理由は、スターバックスのスタッフが、生き生きと仕事をされる姿に、心が和むからです。そんな風に、一人一人のスタッフが生き生きと働く組織に憧れながら、七転び八起きしています。

「失語症」とは「脳梗塞・脳内出血等の脳血管障害や、交通事故・転倒等による脳の外傷、または脳腫瘍によって、大脳の言語野が損傷されたために起こることばの障害の事」を言います。

「失語症」になると多かれ少なかれことばの全ての面に障害が出てきます。声は聞こえているのにことばの意味が分からない「聴く」ことの障害。声も出て口も動くのにことばにならない、間違った音やことばになる「話す」障害。文字の意味がわからない「読む」障害。文字が書けない「書く」障害。田村さんブログ画像-2.jpg「失語症」の状態によく例えられるのが、周りの人がみんな外国語を喋っている所へ一人ポツンと行ったような状態です。想像してみてください。周りの人が喋っている内容は聞こえているけど、さっぱり意味がわからない。自分の頭の中に言いたいことがあるのに、ことばが通じないから何と言っていいかわからない。書いてある文字も意味がわからない。もちろん文字も知らないから書けない。そんな状態なのです。

このような状態の人に、私達はどうやって話しかけたらいいでしょう。ことばは通じないのですが、好意的に笑顔で話しかけてみませんか。「お腹はすいてませんか?」と自分のお腹をさすって身振りで表現してみてはどうでしょう。実際に食べ物を持ってきて「これを食べませんか?」と聞くともっとわかりやすいかもしれません。きっと首を振って食べるか食べないか返事してくれるはずです。

失語症の状態は人それぞれで、ほとんどすべての面でことばが使えない方、うまく話せないけど人の言っていることは少し理解できる方、複雑な会話は難しくても日常の簡単なやり取りならできる方等様々です。その人の残された言語能力をうまく活用することは重要ですが、周りの人がその人の状態をよく知り、「ゆっくり、短いことばで話す」「具体的な物や絵や文字を見せながら話す」「身振り手振りや指差しを使いながら話す」「はい・いいえで答えられるように質問する」等その人とうまくコミュニケーションをとることで伝わることはどんどん広がっていきます。

「失語症」になっても、周りの人に協力してもらいながら、あきらめずコミュニケーションをとっていただきたいです。

生活の中や訪問看護ステーションで仕事をしていて日々思うことは、 生活の工夫や人の助け(介護のサービスなど)があることで、最期に近いところまで家で過ごせるのではないかということです。

令和2年の3月(厚生労働省HP介護保険事業情報報告より引用)の時点で、要支援・要介護者の数は668.4万人であるという統計があります。
認定を受けた方々の多くは、介護予防サービスや施設サービスを利用しており、我が家も例外ではなく、母が、昨年介護認定を受け、現在は福祉用具とデイサービスを利用しています。

 介護認定を受けるにあたり我が家で何が起きたかというと、一昨年、母が腰の痛みを訴え整形外科を受診し腰椎圧迫骨折と診断。それから約3ヶ月後、次は立ち上がれず救急外来を受診し、結果は、大腿骨頸部骨折と診断されました。母は、手術を受け、急性期の病院に1ヶ月ほど入院し、回復期病院で3ヶ月弱リハビリをおこないました。本人は杖歩行までの回復を期待し、自宅で独居生活を続けることを希望していました。

T_S__7618581.jpg残念ながら、杖歩行までの回復には至らず、自宅へ帰ることはできませんでしたが、屋内は歩行器、外出時は車いすを使用し、バリアフリー住宅へ移り、独居生活を続けることが出来ています(時折転倒していますけれど)。

母の生活が変化したことにより、周りの家族の生活が変わりました。掃除や買い物、通院などは、何とか家族が交代で行っています。しかし、家族が母のリハビリなど行う時間や知識は無い為、デイサービスを使い筋力トレーニングなどを行ってもらっています。

 このように、生活を続けるために、様々な工夫や人の手(歩行器や車いすを使うことやバリアフリーの家や手すりなどをつけることで生活しやすい環境を作り、デイサービスや訪問看護・リハビリなどを使い家族に出来ない部分は、サービスで補うなど)を借りながら、介護者、介助者それぞれの負担が過度にならない範囲で、家で最期まで過ごしたい方の希望が少しでも叶うことを切に願います。

初めまして、この度訪問看護ステーションはーと&はあとで働くことになりました、理学療法士の片山久美子と申します。以前は回復期リハビリテーション病院、特別養護老人ホームで勤めていました。

出身は和歌山県で高野山の麓に実家があります。私が理学療法士を目指したきっかけは、実家の祖父母にあります。高齢になっても大きな病気もせず、自宅で健康に穏やかに暮らしているのをそばで見ていて、一人でも多くの方が祖父母のように住み慣れた自宅でその方らしく過ごせるお手伝いをしたいと思ったからです。祖母は残念ながら今年の2月に98歳で他界しましたが、祖父は今年で103歳になります。顔をのぞきに行くといつも笑顔で迎えてくれるので、こちらが元気をもらいます。

リハビリでは歩行能力の向上だけでなく、日常生活動作練習や各動作に繋がるような運動療法を行ったり、ご自宅内で安全に過ごせる為の環境作りもお手伝いできればと思っています。私自身訪問リハビリは初めてですが、今まで勉強してきたことや経験を活かし、理学療法士として何かお役に立てればと思っています。少しでも日々の生活に変化をもたらし、笑顔で楽しくリハビリができるよう努めていきますので、よろしくお願い致します。