一段と日が暮れるのが早くなり、朝晩の冷え込みが晩秋の訪れを感じさせてくれます。
原付バイクで利用者様の訪問先に向かう服装も本格的な防寒対策が必要になってきました。
さて、寒い日が続くと家に引きこもりがちになりますが、今年は新型コロナウイルス感染拡大もあり、ますます外出の機会が減り家の中でずっと過ごしている方も多いのではないでしょうか。

感染予防のためには、多くの人が集まる場所への外出は控えた方がよいのですが、動く量(活動量)が減ると、生活不活発病になる恐れがあります。家の中にずっといると動く機会や果たす役割を失います。その結果、生活動作がままならなくなり、活動する範囲が狭まる状態のことを生活不活発病といいます。特に高齢者の方は、筋力の低下、うつ状態、知的活動の低下、めまい・立ちくらみが起こりやすくなります。

日本理学療法士協会では、この生活不活発病に対する予防として4つのポイントを挙げています。
① なるべく動くことを心がけよう。
② 日中、ずっと横にならない。(一日1回は布団をたたみましょう)
③ 身の回りを片付けよう。(歩きやすいようにお家の中の通路を確保しましょう)
④「安静第一」は思い込み。(「無理は禁物」と思い込まないで下さい。ただし持病がある方や栄養状態が悪い方は、医師や医療関係者に相談して下さい)

生活不活発病は、いったん始まると悪循環を作って進行していきます。まず、「動かない(生活が不活発)」ことにより、生活不活発病が生じます。そして、生活不活発病が起こることで、歩行や日常生活動作が行いにくくなったり、疲れやすくなったりして、「動けない」「動きにくい」状態となります。「動けない」「動きにくい」のでますます「動かない」ようになり、生活不活発病が進んでいくのです。

また、日本理学療法士協会ではご家族様や関係者の方々に、この生活不活発病に対する対応として同じく4つの事柄を挙げています。
① 声をかけてください。(高齢者の方は静かで目立たない方もいます。眺めているだけでは分かりません)
②「大丈夫」は鵜呑みにしない。(気遣いで「大丈夫」と答える方が多いです。立ち・座り・歩く動作を確認しましょう)
③ 散歩やスポーツは、気分転換を含め活性化に効果的。
④ 運動は「少ない量を数多く」の原則。(一度に多くの運動は逆効果にも。運動の基本は、少ない運動を、小分けにして行いましょう)

動かない習慣に慣れてしまうとそれが当たり前になってしまい、動くことへの変化に対応しづらくなります。今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、この病気に悩まされる方がどのくらい増えたかは分かりませんが、なりやすい状況であることは確かです。いかに予防するかが大事であると思いますので、一人一人が生活不活発病になる危険性を知って頂き、ならない為の予防(運動や活動)を心がけて頂く必要があるように思われます。

reha02.pngreha01.png






初めまして、看護師の小田泉と申します。私は鹿児島県の与論島という小さな島で生まれ育ちました。その為、小さいころから自然と多くの高齢者の方々に囲まれて育ち、私が看護師を目指すきっかけとなったのも近所のおじいちゃんとの関わりがあったからです。

看護師として働き、精神科の認知症の病棟や、整形外科、消化器外科、脳外科といった病棟での勤務を経験してきました。そのなかで入院中の患者様と疎遠になってしまうご家族との関わり方の難しさや、私たちと話すことで変化していく患者様の様子を目にし、人と人との繋がりが大切であると痛感しました。また、退院していく患者様やそのご家族の笑顔を見て、自宅へ帰ることの喜びを感じるものの、退院後の不安を語る姿から、より安心して自宅で過ごすことのできる様に援助していく訪問看護という仕事に興味を持ちました。

訪問看護は初めてとなりますが、少しでも安心してその人らしい生活が送れる看護を行いたいと思います。今までの経験を活かして精一杯サポートさせて頂き、寄り添い、一緒に笑顔で過ごせるよう頑張りたいと思います。よろしくお願い致します。

2020.10.1で訪問看護はーと&はあと設立3周年を迎え、4年目に入ることとなりました。ここ最近になり、ようやく「どんな訪問看護にしたいか」という事を言語化できるようになったので、今回はその話をしたいと思います。

訪問看護に従事してから、病院看護師と訪問看護師の違いを、ずっと考えてきました。私の中で出た答えは、言葉にすると月並みですが、"病院では治療を支え、在宅では生活を支える"でした。ADLとQOLの違いという感じでとらえており、安心できる・充実した生活の一助となるべく、看護やリハビリが存在すると思っています。そして、利用者さんの人生の歴史の1ページにそっと名前を刻んでもらえるような、心に届くケアが提供できる訪問看護にしたい、それが今の私の想いです。

それを実現させるための一つとして、譲れないと思っているのは担当制です。担当の〇〇さんが来るのを、心待ちにして下さる利用者さんが増えること、出会えた利用者さんのニーズに応え続けていくために試行錯誤することに、やりがいを感じています。おかげさまで利用者さんが100名を超え、これからもお一人お一人のニーズに応え続けていける仕組み作りを、しっかりとやっていきたいと思っています。

ただ、仕組み作りだけではなく、"目に見えない技術も確立したステーション"にしていきたいと考えています。病状によっては、苦しく重い言葉を発する利用者さんもいらっしゃいます。その言葉を受け止められるだけの、技量と度量が備わったステーションにしていきたいと思っています。例えば利用者さんが「死にたい」と言ったときに「そんなこと言わないで」、と自分の気持ちを話す機会を遮られてしまうのは辛いことだと思うのです。自分の担当ならしんどい気持ちも吐き出せる、そんな関係をスタッフに築いてもらいたいと考えています。たとえ重い言葉であっても、逃げずに、ごまかさずに対応していけるプロでありたい。そして、日々意識と工夫ができるスタッフと共に、ステーションを大きくしていきたいと思っています。

重い言葉や、苦しい身体状況と向き合うのは楽なことではありません。しかし、コミュニケーションは技術だとも考えており、個々の力量頼みではなく、一定のレベルまでは、技術としてコミュニケーション力を磨くことが可能だと考えています。到達速度は個々のペースであっても、達成しようとする努力を惜しまないスタッフと共に頑張っていきたいのです。一定のコミュニケーション力を身に付けた上で、 "個々のスタッフの持ち味を最大限に活かせる、やりがいが感じられるステーション"にしていきたいと思っています。

また、利用者さんに何かを伝えるときに大事にしていることは、「看護やリハビリの知識を決して振りかざすことがないように」ということです。利用者さんが受け取りやすい方法を「現在、過去、未来に思いを馳せて感じ取る・見出していく」、それができるステーションに成長していきたいです。生活の主役である利用者さんのペースに合わせながら、ケアをすることを大切に、日々精進してまいります。

<山本のひとり言>
私は紅茶派ですが、スターバックスが好きです。その理由は、スターバックスのスタッフが、生き生きと仕事をされる姿に、心が和むからです。そんな風に、一人一人のスタッフが生き生きと働く組織に憧れながら、七転び八起きしています。

「失語症」とは「脳梗塞・脳内出血等の脳血管障害や、交通事故・転倒等による脳の外傷、または脳腫瘍によって、大脳の言語野が損傷されたために起こることばの障害の事」を言います。

「失語症」になると多かれ少なかれことばの全ての面に障害が出てきます。声は聞こえているのにことばの意味が分からない「聴く」ことの障害。声も出て口も動くのにことばにならない、間違った音やことばになる「話す」障害。文字の意味がわからない「読む」障害。文字が書けない「書く」障害。田村さんブログ画像-2.jpg「失語症」の状態によく例えられるのが、周りの人がみんな外国語を喋っている所へ一人ポツンと行ったような状態です。想像してみてください。周りの人が喋っている内容は聞こえているけど、さっぱり意味がわからない。自分の頭の中に言いたいことがあるのに、ことばが通じないから何と言っていいかわからない。書いてある文字も意味がわからない。もちろん文字も知らないから書けない。そんな状態なのです。

このような状態の人に、私達はどうやって話しかけたらいいでしょう。ことばは通じないのですが、好意的に笑顔で話しかけてみませんか。「お腹はすいてませんか?」と自分のお腹をさすって身振りで表現してみてはどうでしょう。実際に食べ物を持ってきて「これを食べませんか?」と聞くともっとわかりやすいかもしれません。きっと首を振って食べるか食べないか返事してくれるはずです。

失語症の状態は人それぞれで、ほとんどすべての面でことばが使えない方、うまく話せないけど人の言っていることは少し理解できる方、複雑な会話は難しくても日常の簡単なやり取りならできる方等様々です。その人の残された言語能力をうまく活用することは重要ですが、周りの人がその人の状態をよく知り、「ゆっくり、短いことばで話す」「具体的な物や絵や文字を見せながら話す」「身振り手振りや指差しを使いながら話す」「はい・いいえで答えられるように質問する」等その人とうまくコミュニケーションをとることで伝わることはどんどん広がっていきます。

「失語症」になっても、周りの人に協力してもらいながら、あきらめずコミュニケーションをとっていただきたいです。